
本記事は『日文 ACC プロジェクト』のnoteに掲載しています。
https://note.com/nichibun_acc/n/n234f6f3619f1
こんにちは、日本文教出版です。
去る7月31日、初の東京でのワークショップ開催を無事に終えることができました! ご参加くださった皆様、そして、ご協力くださった三菱鉛筆の皆様に改めて感謝申し上げます。
今回も参加者の皆さんがオープンマインドの姿勢でいてくださっていたおかげで、どのテーブルにも活発なコミュニケーションが生まれ、見ている私たちもその空気を一緒に楽しむことができました。
(ワークショップで使用している表現を引用すると、「さすが私たち」という感じです!)
さて、これまでのワークショップでは、アートカードを使ったワークを中心に構成してきましたが、今回は三菱鉛筆のご協力をいただき、「toirono」という色鉛筆を使って絵をかくワークを実施いたしました。
今日の記事ではそのワークについて、ピックアップしてご紹介させていただければと思います。
「toirono」でためそう/「toirono」でかこう

「toirono」の詳細はこちら
https://www.mpuni.co.jp/special/toirono.html
ワークの内容はいたってシンプルで、色画用紙に「toirono」を使って自由に好きなものをかいてもらう、というものです。
ただ、いざ「何をかいてもいいですよ」と言われると、戸惑ってしまう方も多いかと思い、今回のワークには「ためす」という入口をあえて設けていました。
まずは線をかいてみる。くるくると動かしてみる。次に、複数の色を重ねてみたり、紙の色によって変わる色の見え方を楽しんでみたり。
toironoはそもそも、発色や描き心地にこだわってつくられた色鉛筆ですから、手を動かしているうちに楽しくなっていく――試したい表現も自然と出てくるのではないかと考えていました。
実際、最初は「おそるおそる」という様子の方もいらしたように思いますが、数分もしないうちに空気はやわらぎ、どなたも「かくこと」を楽しんでくださっているように見受けられました。

最後には、かいたものの中から1枚を選び、ご自身でタイトルをつけてもらいました。そして、その作品をグループ内でシェア。タイトルを伏せた状態で「この絵から見つけたもの・感じたもの」について意見を出し合うというワークも行いました。

「案外伝わらないんだな」と感じた方もいれば、「別の視点で価値を見出してもらえてうれしい」と感じた方もいたでしょう。
自分が表した作品には、「自分の中にある価値」だけでなく「他者から見える価値」もあって、それらが重なり合うことで新しい意味や発見が生まれてくる。そんな体験がこのワークの中にはあったのではないかと思います。
実施後アンケートの「印象に残った言葉やワーク、場面」に関する設問で、このワークを挙げてくださった方も複数いらっしゃいました。
「戸惑い」から見えたもの
まずはためして、かきたいものを見つけて、心を赴くままに手を動かす。――それは、自分の中にある「こうあるべき」という正解像から少し解放されるプロセスだったのかもしれない。
これが、今回のワークショップを通して、私個人が感じた一番のことです。
手を動かす、表現する、体験する・・・こうした活動は、本来とても楽しいものだと思います。
でもそこに、「こういう作品が描けた方がかっこいい」「こういう視点を盛り込んだ方が評価される」など他者の目が入り込んだり、
自分の内側にぼんやりと存在する「正解像(こうあるべき・こうかけたら素敵という理想像)」にとらわれてしまうと、その楽しさは少しずつ削がれてしまう。
もちろん、「正解像」に近いアウトプットが出せたら、それはそれですばらしいことです。
でも、出せないからと言って、口をつぐんだり、手を止めたりする必要はない――これって、他者に対してはそういう思いでいても、自分に対してはやけに厳しく縛ってしまったり、しませんか?
今回は「絵をかく」という活動でしたが、会議の場ではなおさら、こういう「自重」が起こっているような気がします。
その人の「思い」「気づき」は、その人自身の体験・経験と混ざり合って生まれる、“その人だけのもの”ですから、
発してみれば、それがきっかけとなって他の誰かの考えが広がっていくことだってあります。“あなたの意見”もそうです。
「こうあるべき」から少しだけ自分を解放して、「思ったこと」や「感じたこと」を素直に言葉やかたちにしてみる。
そしてそれを、おたがいに認め合う。自分自身のことも認めてあげる。
そんな行為や関係性こそが、心理的安全性を支える土台になるのかもしれない・・・と、そんなことをしみじみと思ったワークショップでした。
日本文教出版「Art for Co-Creationプロジェクト」では、企業が抱えるさまざまな課題に対して、アートを取り入れたワークショップでの解決をご提案しています